今日の動画寄稿第25弾の内容について 新型コロナウイルスについて考える @YouTube#2020-0024.999

京王線 #西調布 #内科 #クリニック #COVID-19 #新型コロナウイルス #nCOV #武漢 #PCR #抗体ウイルス薬 #抗HIV薬 使うなんてとんでもない❗❗ #検査 の意義 #ウイルス性肺炎 #間質性肺炎 #考え方 の助けになれば良い ある程度は #炎上覚悟 #カラダとココロのクリニック

2020年2月29日12時公開
2020年2月29日14時更新(緑部分)

本日、動画寄稿第25弾は週末なので雑談などを予定していましたが
COVID-19、nCOV、新型コロナウイルスについて
再度、取り上げようと考えています

一昨々日、2/26に取り上げた以下の内容
動画寄稿第22弾:新型コロナウイルス 検査の拡大って・・・ 😪インフルエンザの簡易型検査キットじゃないんだから・・・ PCRってそんなに簡単な検査じゃないですよ😤 検査している方々も相当なストレスがかかっているはずです@YouTube#2020-0022
ですが
思ったよりも反響があり、幾人かの方にコメントをいただいております
いただいたコメントには返信をしておりますが
その返信している最中に、今更なのですが
大切にしなければならないことに気がついてしまいました

動画を公開するにあたって毎回コメントとして入れている
以下のフレーズ
「医療者/医者の当たり前を当たり前としてそのまま放置するのでなく
その当たり前を皆さんにご理解いただきたいと思います」

自分が当然として考えていることは
もしかしたら、当たり前ではないのかもしれないな
ということです
誰か、お偉い感染症の専門の先生方が
いや、君、それは当然だろう、言うまでもないことだ
と言われるのであれば、私にとっては
あぁ、皆、わかってくれているのだ、安心だ、ということになります

今日、お話する予定の内容をアウトライン化して
いくつかまとめてみようと思います
今日の撮影・公開(17:30~18:00頃を予定しています)まで
気がついた内容はすべて盛り込む予定です
お気づきの点などありましたら
Twitter、HP、YouTubeなどでコメントをいただけますと幸いです

1.そもそも検査はなんのためにやるのか
これは今まで、ホームページでも動画でも何度もお話してきましたが
検査はどんな検査であっても、その検査を行うことで
「得られた結果により、大きく治療方針が変更になる可能性がある」
そう云う検査が「行われるべき検査」です

これは既にマスコミなどでも感染症の専門家が多く出演し
お話をしていることですので詳しくはお話しませんが
コロナウイルスは通常の風邪の原因となるウイルスです
対症療法を行って、安静にし、ご自身の免疫により
快復させるのが基本的な治療方針となるわけです

軽症の場合は

では、今まさに、これを読んでいるあなたが
原因不明だが感冒症状があり、巷で騒いでいる
新型コロナウイルスに罹患している可能性があるとしましょう
PCR検査を受けたいとします
では、その検査を受けて陽性であるとして
軽症の場合、何か治療方針が変わることがあるでしょうか?
インフルエンザのように特効薬があるということでもありません
重症でなければ、上記でも説明したように
ご自分の免疫力で快復させるようにするために
自宅で安静、待機していただく必要性があるわけです

つまり、検査をしてもしなくても
なんら方針は変わらない、ということです
とすれば、この検査は受ける必要性がない、ということになります
発熱した方は、その可能性(新型コロナウイルス感染)を考慮して
自宅で療養するべきである、ということですね

しかし、重症であるとすれば
重症ウイルス感染で起きたサイトカインストームへの対処
間質性肺炎におけるステロイドパルス療法へ踏み切るか否かの判断
他、ヴェノグロブリンやベニロンなどのヒト由来の抗体製剤を使用するかの判断
そういったことへの判断材料とするためCOVID-19の感染が起きているかを確認する
それはとても大切なことですし、必要なことですよね

なぜならば、重症な新型コロナウイルス感染では
上記のように治療方針が変わる「かもしれないから」です

2.PCRって?そもそもの認知度、どういう検査なのか
次にPCR検査について再度まとめたいと思います
動画は一発撮り、そのままアップロード、タイトル・概要編集、公開
という流れでやっていますので、話す内容が足りないと
後で気がつくことも多々あるためです

PCR検査自体は一般的になりはじめたのが30年ほど前からの技術です
え?もうそんな前から?と思うかもしれませんが
実質的に教育を受けてやり方まで知っている医師は
20年目よりも若い医師の方々ではないかなと思います
必要にかられ、実験などで経験する医師は少なくありませんが
それでも、全ての医師がPCRを実際に自分でやる
という機会が無い(あるいは少ない、覚えていない)
と考えていただいて良いと思います
ですので、医師の中にもPCRPCR!!となる方が居ても不思議はありません
特に開業されているような50代以上の医師は
仕組みすら知らない医師がいてもおかしくないのです

元の遺伝子情報・・・これはなんでもよいのですが・・・
いえ、せっかくなので本物を用意しましょう
以下は公開されたCOVID-19のゲノム配列です
これは感染を繰り返すうちに変化する可能性もあります
つまりは途中で検査不能になる場合もあるということです

国立感染症研究所が公開しているPCRの情報によれば
検出している遺伝子情報は24354番目から24900番目までの547塩基です
プライマーで使用している部分は赤と青に
プライマーとプライマーの間で相補的に補足される部分はオレンジにしてあります

オリジナルの情報が見たい方はこちらにゲノム情報を置いておきます

ここから必要な部分だけ抜き出して説明します

24301 gaatgttctc tatgagaacc aaaaattgat tgccaaccaa tttaatagtg ctattggcaa

24361 aattcaagac tcactttctt ccacagcaag tgcacttgga aaacttcaag atgtggtcaa

24421 ccaaaatgca caagctttaa acacgcttgt taaacaactt agctccaatt ttggtgcaat

24481 ttcaagtgtt ttaaatgata tcctttcacg tcttgacaaa gttgaggctg aagtgcaaat

24541 tgataggttg atcacaggca gacttcaaag tttgcagaca tatgtgactc aacaattaat

24601 tagagctgca gaaatcagag cttctgctaa tcttgctgct actaaaatgt cagagtgtgt

24661 acttggacaa tcaaaaagag ttgatttttg tggaaagggc tatcatctta tgtccttccc

24721 tcagtcagca cctcatggtg tagtcttctt gcatgtgact tatgtccctg cacaagaaaa

24781 gaacttcaca actgctcctg ccatttgtca tgatggaaaa gcacactttc ctcgtgaagg

24841 tgtctttgtt tcaaatggca cacactggtt tgtaacacaa aggaattttt atgaaccaca

オレンジと並んでいる塩基配列はCOVID-19のspike領域という
特異的な配列になっています;つまり、新型じゃないウイルスは
こういう配列になっていないということです
最初の赤の部分と最後の青の部分はプライマーにより相補的にくっつく領域です

我々の遺伝子情報を構成する塩基たちは
好きな相手というのがいるのでTはAとGはCとくっつきます
当然、AはTとくっつきますし、CはGとくっつきます
このように相補的にくっつくことでDNAは二重鎖を形成します
コロナウイルスはRNAですので1本鎖です
その情報から、むりやりcDNAという遺伝子断片をつくります

赤の部分にはaaccgttttaagttctgagtgaaaという相補的なプライマーが付きます
ついたあとは伸長反応が起きることでその先の塩基がついていきます
そう、まさにプラレールのように次々とレールをつけていくのと同じように
赤のプライマーという駅から、青のプライマーという駅までつなげていくわけです
g→a→a→g→g→t→gと順に相補的にくっついていき
青のプライマーまでいくと反応を終えます
青はプライマーという名前がついていますが事実上はターミネーターです
すると、全547の塩基配列で構成されたcDNAができあがります
この行程をPCRでつくっていくのです

90℃での熱変性(反応しやすくする)1-2分を行い
40-60℃でのアニーリング(プライマーがくっつく)1-2分
72℃での伸長反応(相補的な塩基がつながっていく)1-2分

この3つのプロセスが1サイクルで構成されます
これを40-50サイクル行います

このようにして少ないRNAから
多くの遺伝子断片を得ていくわけですね

当然、検体にプライマーの並びがない場合には
プライマーはくっつきませんし
反応は終わりません
あるいは伸長反応自体が起きないこともあります
このような場合には遺伝子断片ができないので
電気泳動してもバンドが出ませんので陰性、ということになります

PCRは「増幅検査」です
少ない検体量でも検出することができるのが強みですが
それでも、増幅する相手、今回の場合で言えば
採取されたコロナウイルス>が極端に少なければ
できあがるDNA断片の量も少なくなってしまいまい
それ自体も陰性となってしまうことも少なくありません
要は陽性であるのに陰性となる「偽陰性」です

前回の動画の中でお話したような要素もそうですが
「採取する人が下手くそ」であっても偽陰性のリスクとなります
更に検査をする人がうまくやれなくても
それによっても偽陰性となる可能性があります

そのような不安定な検査ですから、数多くこなすのでなく
全ての検体が慎重に処理されるように制限されるべきで
当然、検査対象は重症患者に限られるべきである、となるのが
然るべき対応である、と理解していただきたいと思います

3.重症化している際の肺炎について

中国の報道を見る限りでは
肺炎となっている方々は皆さん、間質性肺炎であるように見えます
これは、見たことのある医師ならば誰でも分かりますし
ウイルス性の肺炎となれば自ずと間質性肺炎と予想も付きます

昨日、日本の報道をみていましたら
明らかに細菌感染を起こしているCT画像を提示して
コロナが疑わしい、と保健所に連絡している姿を報道し
更に、保健所は取り合ってくれない、と続けます

明らかに足を引っ張る行為ですよね
不安を煽る行為です
間質性肺炎は専門の医師が治療に当たらなければ
より悪化の一途を辿ることもあります

レントゲン写真でも間質性肺炎とあたりをつけて
CT
で診断できなければならないわけです
よく分からない、という医師には
積極的にCTを撮影することをおすすめしたいです

参考として、中国から報告されたCOVID-19による
重症肺炎の画像を添付しますwuhan_ip
She J et,al. 2019 novel coronavirus of pneumonia in Wuhan, China: emerging attack and management strategies, Clin Transl Med. 2020 Feb 20;9(1):19.(PMID:32078069)

4.亡くなっている方々と重症例の治療について検討する
重症化している患者さんは年齢層が2層あることに気づきます
目立っているのはもちろん高齢者です

70歳以上が多い印象でしょうか
しかし、着目すべきは若年者にも死亡例がある点です
通常、基礎疾患を併せ持つ機会の少ない若年者
特に、中国では結婚を間近に控えていた青年医師が亡くなっています

ここから先はあくまでも私の私見ですが

若年者が重症化するのは、免疫の機構がオーバードライブしてしまうことから
つまりは、免疫の力がありすぎることから
サイトカインストームが起き、肺炎になっていると予想されます
要はウイルスは間接的な要因で肺炎を起こしているのであり
直接的には自分の免疫担当細胞が肺炎を起こしていることになります

となれば、抗ウイルス薬は効果的でない可能性すらあります
もちろん、原因となっているウイルス感染を制御する必要性はあります
これも、間質性肺炎をみたことのある医師であればご理解いただけると思います

ですが、コロナウイルスに特異的な抗ウイルス薬がない状況で
どの様にウイルス感染を制御しようというのでしょうか

新型インフルエンザの抗ウイルス薬を使用しようとか
あるいは抗HIV薬のカレトラ(ロピナビル・リトナビル合剤)を使用しようとか
そういうご意見もあるようですが・・・
もう・・・何言ってるのか・・・
コロナウイルスのようにVariable lesionの不安定なウイルスに対して使用して
そこから耐性を得たとして・・・
考えただけでも恐ろしいです・・・

これは軽症の方について、であって
重症の方には検討する余地はあると思われます

日本感染症学会が発表した暫定指針では
抗ウイルス薬を使用する対象および開始のタイミングとして
「患者が低酸素血症を発症し
酸素投与が必要であることを必要条件」とし
以下の4つの要件を示しています

  1. おおむね50歳未満の患者では
    肺炎を発症しても自然経過の中で治癒する例が多いため
    必ずしも抗ウイルス薬を投与せずとも経過を観察してよい
  2. おおむね50歳以上の患者では
    重篤な呼吸不全を起こす可能性が高く
    死亡率も高いため
    低酸素血症を呈し酸素投与が必要となった段階で
    抗ウイルス薬の投与を検討する
  3. 糖尿病・心血管疾患・慢性肺疾患
    喫煙による慢性閉塞性肺疾患、免疫抑制状態等のある患者においても
    上記2に準じる
  4. 年齢にかかわらず
    酸素投与と対症療法だけでは呼吸不全が悪化傾向にある例では
    抗ウイルス薬の投与を検討する

ここでいう抗ウイルス薬は上で紹介したカレトラがあげられています
中国で使用成績があり、一定の効果を得たためと思われます

繰り返しますが、軽症の方に使用を検討するものではありません

ここで何が言いたいのか、ということですが
これは研究などではありません
若い方にも高齢者と同じくリスクがあるということです
皆の問題であるということです

想像してみてください
優先順位を決めなければ
検査を受けるべきだったはずの方が亡くなる可能性があります
その人は皆さんにとってはただの70代女性かもしれませんが
その方のご子息に子ができ、孫に会うのを楽しみにしていたかもしれません

想像してみてください
優先順位を決めなければ
検査を受けるべきだったはずの方が亡くなる可能性があります
その人は皆さんにとってはただの20代男性かもしれませんが
来月、愛する人との結婚式を控えていたのかもしれません

検査を受けるべき人は 重症な感染症に罹患している方々です

なぜ人は畏怖し怒るのか
それはその対象が理解できないものや良く分からないものであるからです
ご理解いただければ、不安や怒りはなくなると思います
マスコミの方々がしているのは結果的に
皆さんの不安や怒りをあおっています
良くご理解いただき、その結果として
皆さんの不安と怒りがなくなることを切に願っております

 

医療者/医者の当たり前を当たり前としてそのまま放置するのでなく
その当たり前を皆さんにご理解いただきたいと思います

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